油絵の具を塗り重ねた抽象画のように複雑な文様。何万年にもわたる自然の営みが生み出した「島の頂(いただき)」だ。
拡大する海と空の間に浮かぶように見える利尻島=北海道、朝日新聞社機から、長島一浩撮影
境界のぼやけた海と空の間で、ジェット機から眺める利尻(りしり)島(北海道利尻町・利尻富士町)は浮かんで見えた。北側の平野部がしっぽのよう。島は、天空を南へと向かうかのようだ。
拡大する日本最北の百名山・利尻山=北海道・利尻島、朝日新聞社機から、長島一浩撮影
最北の日本百名山・利尻山(1721メートル)を頂(いただき)とする利尻島は、1周約60キロ。数万年にわたる火山活動で形を変えてきたが、位置は変わっていない。
拡大する利尻島の中央にそびえ立つ利尻山=北海道、朝日新聞社機から、長島一浩撮影
移動してきたのは人間だ。
江戸時代の末以降、豊かなニシンを求め、日本海側の各地から漁師が移り住んだ。利尻町立博物館の元学芸員、西谷(にしや)栄治さん(65)は、「出身地ごとに集落が生まれ、遠い故郷を思って文化を持ち込む人々もいた」と話す。
拡大する沓形(くつがた)岬公園(手前)と利尻町の住宅街=北海道・利尻島、朝日新聞社機から、長島一浩撮影
西谷さんは1991年、島の神社の木箱から、精巧な作りの獅子頭を見つけた。調べると、鳥取からの移住者が明治の末ごろ持参した麒麟(きりん)獅子だとわかった。大正初期に途絶えた獅子舞復活のため、島民と会を設立。2004年から毎年6月、奉納の舞を続ける。
拡大する利尻島の中央にそびえ立つ利尻山=北海道、朝日新聞社機から、長島一浩撮影
島の人口は約4400人。ピークだった55年の約2万人からは減ったが、自然に魅せられ移住する人もいる。
島でガイド業を営む西島徹さん(51)は福岡県出身。各地を旅するなかで04年に移住を決めた。3人のスタッフもみな道外出身。トレッキングや高山植物の観察を手がける。「季節や時間ごとに風景が変わる。住むほどに魅力が増す島ですよ」
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拡大する青い海と木々の鮮やかな緑が広がる利尻島=北海道、朝日新聞社機から、長島一浩撮影
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル