原田悠自
茨城県取手市で2015年に市立中学3年の女子生徒がいじめにより自殺した問題で、適切な対応をとらなかったなどとして懲戒処分を受けたのは違法だとして、当時の担任教諭が処分の取り消しを求めた訴訟の判決が12日、水戸地裁であった。三上乃理子裁判長は教諭の訴えを認め、県教育委員会の懲戒処分を取り消す判決を言い渡した。
判決などによると、女子生徒は15年4月以降、複数の同級生からひどい言い方で呼ばれたり、生徒同士で寄せ書きをするアルバムに悪口を書き込まれたりするいじめを受け、同年11月に自殺した。
県教委は19年7月、女子生徒の交友関係の変化などについての対応が不適切で、女子生徒に心理的苦痛を与えたなどと判断。地方公務員法が定める信用失墜行為などに該当するとして、教諭を停職1カ月の懲戒処分とした。
教諭の対応「信用失墜行為にあたらない」
裁判では、教諭の対応が懲戒事由に該当するかどうかが争点だった。
三上裁判長は、「交友関係の変化からいじめを疑い、格別の対応をとるべきだったとは認められない」と説明した。教諭がアルバムへの書き込み内容を把握していなかったことについても、「アルバムは生徒個別のもので、教諭がすべての内容を確認して指導するべきだということはできない」と指摘。「(教諭の対応が)信用失墜行為にあたるということはできず、懲戒事由を欠いた違法な処分だ」と結論づけた。
判決を受け、大井川和彦知事は12日の定例会見で、「県の主張が認められなかったことは大変遺憾。判決内容を精査して対応を考えたい」と述べた。(原田悠自)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル