札幌市内で高齢者の介護レクリエーション事業に携わるシニアライフカウンセラーの有馬敬子さんは4月、民間のサービス付き高齢者住宅(サ高住)に数カ月ぶりに出かけて、がくぜんとした。
以前は有馬さんを「先生」と呼んでいた女性は、顔を見ても「あなた誰?」という表情を見せた。施設内を歩き回る人が出たり、転倒して骨折・入院した人が出たりしていた。
有馬さんは業務委託を受け、市内のサ高住3カ所でレクリエーションを受け持っている。ゲームや塗り絵、体を動かしたりすることで高齢者の健康維持を助けてきた。しかしコロナ禍でそうした業務はままならなくなった。高齢者の楽しみの一つだったカラオケは一切できなくなった。
新型コロナウイルスの感染拡大は、高齢者が過ごす施設にも大きな影響を与えています。高齢者と接する業務が感染対策でできなくなり、高齢者の心身に影響を与え、こうした業務を担う人々の生活にも打撃を与えています。関係者は政府のきめ細かな対応の必要性を訴えます。
施設に移動販売の車が訪れることもなくなった。ちょっとした食料品や日用品の買い物は入居者の楽しみの一つで、レクリエーションのスタッフが買い物を手伝うこともあったが、その機会も失われた。
こうした小さなコミュニケーションの積み重ねで支えられていた高齢者の心身の健康に、少しずつ異変が出ている。「部屋にただいるだけになってしまっている高齢者をなんとかしてあげたい。ワクチン接種をもっと進めてほしい」
高齢者施設の経営に打撃も
道央圏を中心に訪問介護や居…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル