目の負担を和らげる「色つき眼鏡」を使用する大阪市の元受刑者の男性と弁護人が、「大阪拘置所と大阪刑務所で使用を禁じられたのは違法だ」として、国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が10日、大阪高裁であった。冨田一彦裁判長は一審に続いて違法性を認定し、国に対し、約11万円増額した計48万円の賠償を命じた。
判決によると、男性は大阪拘置所で薄紫の色つき眼鏡の使用を求めたが、「目の動きが分からず、動静の観察に支障がある」などとして認められなかった。実刑判決確定後の大阪刑務所でも、弁護人が差し入れた別の眼鏡を使えなかった。
一審・大阪地裁は拘置所について、弁護人との接見時に使用を禁じると「証拠書類が見られないなどの支障がある」として違法とした一方、男性が日常、私物の眼鏡をかけていると「視線の確認が困難な場合もある」と判断。使用禁止は拘置所の裁量の範囲内としたため、男性側が控訴した。
高裁判決は、男性が警察の留置所では同じ眼鏡を使えたことなどを挙げ、「着用しても目の動きは確認でき、拘置所の秩序維持に障害があるとはいえない」と指摘。拘置所で日常の使用を禁じたことも違法と結論づけた。
刑務所の対応については、一、二審とも「弁護人が差し入れた眼鏡は無色透明に見える薄い着色」として、使用禁止は不合理と判断した。
大阪拘置所の江頭和人所長は「判決内容を十分精査し、関係機関と協議した上で対応していく」とコメントした。(山本逸生)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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