松浦祥子
目の負担を和らげる「色つき眼鏡」の使用を拘置所や刑務所で禁じられ、接見交通権を侵害されたなどして、元受刑者の男性と弁護人が国に330万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が20日、大阪地裁であった。徳地淳裁判長は、接見で使用を認めなかったのは「違法」などとして、国に計37万5千円の賠償を命じた。
訴状によると、男性は視力が両眼ともに0・03で、普段から色つき眼鏡を使っていたが、2019年に勾留された大阪拘置所では使用が認められなかった。
男性は、弁護人の接見で証拠書類が見えないといった影響があったほか、弁護人から新しい眼鏡を差し入れてもらうまでの約1カ月間、裸眼での生活を強いられたと主張。実刑判決の確定後、大阪刑務所では弁護人から差し入れてもらった眼鏡も使えず、日常生活や刑務作業に支障が出たと訴えた。判決は、差し入れてもらった眼鏡の使用を認めなかった対応も「人格権の侵害」と判断した。
国側は、色つき眼鏡については原則、大阪拘置所では眼鏡のレンズが通す光の程度が「75%以上」で許可し、大阪刑務所では透明の眼鏡以外は認めていないと説明。「被収容者の目の動きが分からないと、動静の視察に支障がある。刑事施設の秩序の維持のための判断で、裁量権の逸脱や乱用はない」として、請求を棄却するよう求めていた。(松浦祥子)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル