挙式1週間前、職場に迎えに来た警察官 4年の裁判闘争の末に

 あるプログラムをパソコンに導入したことから、4年にわたる裁判闘争は始まった。「コインハイブ事件」で被告人になったウェブデザイナー諸井聖也さん(34)が、朝日新聞のインタビューに応じた。同じように立件された人たちが罰金刑を受け入れる中、自ら法廷に立つ道を選んだ理由とは?

 ――疑いがかけられていると知ったのはいつですか

 2018年2月です。仕事で渋谷にいたときに神奈川県警の人から携帯に電話があって、「とある事件で協力してほしい。もう家の前まで来ているので戻ってきてほしい」と。何のことかもわからず、「いまは職場にいるので無理です」というと、「迎えに行く」と。本当に車で迎えに来て、自宅に戻ると家宅捜索の令状を示されました。

 ――その時の状況は

 「不正指令電磁的記録保管の罪」と読み上げられただけで、それ以上のことはわかりません。やたらパソコンを調べるので、最初は自分の管理が行き届いていなくて、悪いことに利用されたのかと思いました。こちらから何度も「これですか」「あれですか」と聞いて、コインハイブが問題視されているとわかりました。

《コインハイブ》暗号資産の取引の正当性をコンピューターによる計算作業で確認するプログラムの一種。ホームページなどに導入すれば、閲覧した人のパソコンの機能を借りて計算作業を行い、導入者らは報酬として暗号資産を得られる

 1週間後に挙式を控えている時期で、不安でいっぱいになりました。妻やそのご両親に申し訳なくて。9時間の捜索が終わって、ツイッターで「おなかが痛い」とつぶやいたのを覚えています。

■ウェブ広告に代わる収入源に…

この記事は有料会員記事です。残り3199文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment