海を渡るチョウとして知られるアサギマダラ。京都府宇治市の山あいにある小学校で羽に目印を付けて放したところ、5日後に160キロ以上離れた徳島県阿南(あなん)市で見つかった。知らせを受けた児童らは大喜び。気をつけて、もっと遠くへ飛んでいって――。
アサギマダラは薄い藍色の羽を広げると、10センチ前後になる。気温に応じて春は南から北へ、秋は北から南へと渡る。羽に目印をつけるマーキング調査で、福島県から台湾まで88日間で約2500キロを南下したケースもあった。人気漫画「鬼滅(きめつ)の刃(やいば)」にもよく似たチョウが登場すると、一部のファンの間で話題だという。
目印を付けたのは、宇治市立笠取小の児童ら。山あいの自然豊かな環境を生かそうと、全児童20人が3月から、チョウが好む花のフジバカマを育て、9月末に愛好家から目印の付け方を教わった。13日に4匹を網でとらえ、笠取小を示す「KTS」と日付、校内の環境委員会を示す「KAN」などをペンで羽に書いて送り出した。
18日午後3時40分ごろ。阿南市椿町の畜産業米山喜義(きよし)さん(69)は、趣味のアサギマダラ調査で訪れたフジバカマ畑で羽に「KTS 10/13 KAN01」という目印があるチョウを見つけた。徳島経由と分かるよう、反対の羽に日付、場所を書き加えて再び放した。
「KTS」の手がかりを求め、ネットで検索すると、笠取小の取り組みを報じた朝日新聞デジタルの記事(15日付)を見つけた。米山さんは「正確できれいに書いてあった」とマーキングを褒め、「九州へ渡る途中ではないか。どこかまた南で見つかるかも」と話す。
目印を付けた環境委員会委員長の6年生、新谷りんさん(12)は「みんなの思いと一緒に見送ったので、徳島で見つかって、すごくうれしい」。小槌(おづち)晶乃校長(55)は「不思議なこと、興味をもったことを膨らませ、同様の取り組みをする学校とつながれたら」と話した。(小西良昭)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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