家畜伝染病「豚(とん)コレラ」が野生イノシシに広がっている問題で、岐阜県は調査のために捕獲したイノシシを現地に埋めて処分する運用の検討に入った。イノシシを調査機関に運ぶのは負担が大きく、焼却炉の受け入れも限界に達していることなどが背景にある。検査には、現場で採取した血液を使うという。
現在、岐阜県内で調査捕獲されたイノシシは、猟師が消毒した上で県中央家畜保健衛生所の分室(岐阜市)まで運び、職員がウイルスの有無を検査している。検査が終わると、死骸は施設内で焼却処分する。だが収束が見えない中、持ち込まれるイノシシは増え続け、累計1千頭を超えた。
施設内の焼却炉の処理能力は1日10頭程度で、「1日に20頭運び込まれることもあり、対応しきれない」(担当者)という。焼却しきれない死骸は、冷房を利かせた部屋で一時保管しており、専用の冷蔵庫の購入も準備しているという。
こうした状況から、県はイノシシを捕獲した現場で血を抜き、家畜保健衛生所の分室で検査することを検討する。死骸は現地に穴を掘って埋める。先行的に7月から36例実施しているが、大きな問題はないという。捕獲にあたる猟師も「重いイノシシを運ぶのは重労働。山と衛生所の往復で1日が終わってしまったこともある。血だけでいいなら楽になる」と歓迎する。
一方、野生動物に詳しい岐阜大学の浅野玄・准教授(野生動物医学)は「現地に埋めるのであれば、クマなどの動物が餌付かないよう、埋設地点にカメラを設置して適切な深さを検討することが必要かもしれない」と指摘している。(山野拓郎、松浦祥子)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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