光墨祥吾
学生への授業アンケートでの評価が低かったことなどを理由に大学を雇い止めされた男性(57)=京都市=が、大学側を相手取り、非常勤講師としての地位確認などを求めた訴訟の判決が19日、京都地裁であった。児玉禎治裁判官は「アンケートで教員の指導能力や勤務態度を判定できるか、必ずしも明らかではない」などとして、講師の地位を認め、雇い止め後の賃金の支払いを命じた。
判決によると、男性は関西福祉科学大学(大阪府柏原市)の英語の非常勤講師として2016年度に採用され、1年ごとに4度契約を更新したが、21年度は更新されなかった。労働契約法上、5年を超えた働き手は無期雇用への転換を申し入れることができるが、その直前に雇い止めとなった。
判決は、雇い止めを無効と判断する一方、不法行為とまでは認めず、損害賠償請求は棄却した。
大学を運営する学校法人玉手山学園は「判決が届いていないので、お答えは差し控える」としている。
判決によると、アンケートは、学生に対して「この授業をどの程度理解できていると思うか」「教員の話し方はわかりやすいか」「板書はわかりやすいか」などを問うものだった。
判決は、アンケートについて「学生の真摯(しんし)な意見がどこまで反映されているのか、それにより教員の指導能力や勤務態度を判定できるのか、それらを担保する仕組みも設けられていない」などと指摘。男性の評価が他の教員と比べて大きく下回っているとも言えないとして、「雇い止めは合理的な理由を欠く」と結論づけた。(光墨祥吾)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル