大阪市に住む小学5年生の増田晃(ひかり)さん(11)が夢中になるもの。それは人気のユーチューバーの動画でも、漫画やアニメでもない。
「これです」
手渡された紙を見ると、ネコやケーキの絵の内側にスタートとゴールがついた自作の「迷路」だった。
「これはけっこう簡単。これは少し難しいかな」
大人でも解くのに苦労する入り組んだ迷路を、軽々と解いてみせる晃さんは得意げだ。
普段は自他ともに認める「人見知り」。久しぶりに会った祖父母と話すときも、両親の暁(あきら)さん(48)と純子さん(49)のそばに隠れ、照れながら話す。
ただ、話題が迷路になると事情は違う。
「このポイントを通らないと進めないよ」
紙の中の小さな世界に広がる工夫や仕掛けについて話す晃さんは、普段とは違う「おしゃべりさん」に変身する。
3歳から迷路のとりこに
晃さんは、古い民家や工場の隙間を網の目のような細い道が走る大阪の下町・西淀川区に生まれた。「ベビーカーに乗って迷路のような町の探検を楽しんでいた」と純子さんは振り返る。
図書館で偶然出会った迷路絵本のとりこになったのは、3歳のころ。
毎週たくさんの迷路絵本を借りては解いた。解く迷路がなくなると、両親に「迷路描いて!」とおねだり。簡単な迷路を描くと、「もっと書いて」とお願いされ、両親は「ネタ切れ」に困ってしまったという。
半年も経つと、解くだけでは…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル