2日前に死刑の執行を告げられた死刑囚と拘置所長らの67年前のやり取りを収めたテープの記録が21日、大阪地裁の民事裁判に証拠提出された。国に損害賠償を求めている死刑囚2人は、提出した記録などをもとに「事前告知をしても問題はない。当日に告知している現在の運用は憲法に違反する」と訴える。
テープは1955年、大阪拘置所長が録音した。2日前に執行を告知し、「送別お茶の会」や「送別俳句会」を開催。死刑囚が姉と面会し「笑って別れましょう」と伝えた後、絞首刑を執行したとみられる音声などが収められている。法務省は「このテープ以外に、告知から執行までを録音したようなケースは承知していない」としている。
原告側は、不服を申し立てる時間を与えず、最後の別れもさせない当日の告知は「適正な手続きによらなければ刑罰を科されないと定めた憲法31条に反する」などと主張。国側は、遺体や遺品の扱いをめぐる意向確認などのために告知しているだけで、死刑囚には告知を受ける法的な権利はないと反論。原告の請求を退けるよう求めている。(阿部峻介)
窓越しに「先ほどお召しの通知」
原告側は、テープに録音された事例のほか、執行前日までに告知した事例が4件あると主張している。
最も古い71年の事例は執行…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル