カジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致を横浜市が撤回する見通しになったことを受け、その動向が注目される東京都。だが、関係者は軒並み、誘致に消極的な姿勢を見せる。かつては国に先んじて「カジノ構想」を打ち上げた「言い出しっぺ」はなぜ、IRに後ろ向きなのか。
「いま、東京都がIRに手を挙げるメリットも可能性も限りなくゼロに近い」
IR反対を訴えた野党系候補が当選した横浜市長選から一夜明けた23日、ある都幹部はそう言い切った。横浜市の誘致が事実上消えたことを受けて、同じ首都圏である都の対応に関心が集まったが、誘致に向けた動きは今のところ見られない。
都の動向に関心が集まるのは、カジノ誘致を最初に言い出した経緯があるからだ。
始まりは1999年、当時の石原慎太郎知事が「台場へのカジノ誘致」を唱えたことだ。この発言が日本でのカジノ解禁論の発端となり、石原氏は「カジノは不況の中、雇用や文化、財源の確保に格好の材料」と期待感を隠さなかった。石原氏の路線を継承した猪瀬直樹知事も2013年の都議会で「カジノなど観光施設の準備を検討したい」と明言し、カジノを「大人の社交場」と表現した。
「まともじゃない経済」強い警戒感
その機運がしぼんだ大きな要因となっているのが、小池百合子知事の存在だ。
小池知事は表向き、IR誘致…
この記事は
残り:585文字/全文:1150文字
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
Leave a Comment