千葉県市川市で今月中旬、市消防局が意識不明の男性(62)を救急搬送しようとしたところ三十数カ所の病院に受け入れを断られ、通報から約4時間後に搬送先病院で死亡が確認されたことがわかった。新型コロナウイルスに感染していたかは不明という。千葉県内では搬送先が決まらずコロナ患者が救急車内で一夜を明かすケースも出ており、救急搬送は厳しい状況が続いている。
50キロ離れた病院に搬送されたが…
市消防局によると、18日午後9時15分ごろ、男性が市川市内の自宅のトイレで倒れているのを親族が発見、119番通報した。救急隊が駆けつけたところ、男性は意識不明で38・9度の発熱があった。市消防局が受け入れ先を探したが、「原因不明の発熱があるため、受け入れは難しい」などとして計三十数カ所の病院に断られたという。
男性は約4時間後の19日午前1時5分ごろ、約50キロ離れた県東部の病院に搬送されたが、死亡が確認された。脳出血の症状があったという。市消防局は「発熱があるとコロナ感染が疑われるため、受け入れ先を見つけるのが非常に難しい状況だ」と説明している。
「息苦しい」と119番通報 搬送まで7時間
千葉県内では17日、新型コロナに感染した柏市の妊婦が入院先が見つからないまま自宅で出産し、新生児が死亡する事案が発生。千葉市でも16~22日の週に、午前0時過ぎに「息苦しい」と119番通報があったコロナ患者の搬送先が決まるまで約7時間かかり、救急車で一夜を明かしたケースもあった。
総務省消防庁のまとめでは、救急車を呼んでも救急隊が医療機関に受け入れを3度以上断られたうえ、現場に30分以上滞在する「救急搬送困難事案」は7月に入ってから増加が続き、全国の主な消防機関で今月9~15日の1週間に計3361件あった。16~22日は3207件とやや減ったが、多い状態が続いている。
各消防の16~22日の件数は、多い順に東京消防庁1645件(前週1837件)▽横浜市消防局372件(同354件)▽大阪市消防局240件(同240件)▽千葉市消防局146件(同157件)だった。(酒井祥宏、小木雄太)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル