2025年4月に開幕する大阪・関西万博まで2年を切った。18年に開催地に選ばれ、関西経済の起爆剤として期待する声も多いが、資材費高騰でパビリオン(展示館)の建設費が膨らむなど問題も出ている。開催に反対してきた神戸大学の小笠原博毅教授(社会学)に、現状をどうみているか聞いた。
――万博を運営する日本国際博覧会協会は来場者が約2820万人、経済波及効果が約2兆円と見積もっています。
「万博の会場建設費は1850億円。3分の2にあたる約1200億円を国と大阪府・市が負担し、税金を使う仕組みになっています。多額の公金に見合うとは思えません。そもそも、万博は収入と支出が同額になる収支計画です。万博自体が利益を生むわけではありません」
「来場者が周辺へ観光に行くなどして、約2兆円の経済波及効果があると言われますが、一部の企業などがもうかるだけではないですか。一般市民の暮らしが良くなるとは思えません」
――大阪万博が開かれた1970年度をピークに、国内総生産に占める関西の割合は下落傾向です。今回の万博は起爆剤となり得るのでしょうか。
「25年4月から10月までのたった半年のイベントで、関西経済を上向かせるのは無理です。一時だけ盛り上がる『花火型』の大型イベントなんて時代遅れです」
「70年万博が関西経済の『…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル