改正会社法が日本人の貧困化、少子化を促進する!?(TOKYO MX)

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。1月20日(月)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、政策コンサルタントの室伏謙一さんが“改正会社法”について見解を述べました。

◆改正会社法が貧困化、少子化を促進する!?

社外取締役の設置義務や取締役の報酬決定方法の透明化を定めた「改正会社法」が2019年12月4日、衆議院本会議で可決成立しました。外部からのチェック機能を強化し、市場の信頼性を高めることが狙いで、一部を除き2021年中に施行。多様な雇用体系を取り入れ、働き手の意欲を高める必要性を強調しています。

室伏さん曰く、その改正会社法を中心に行われているのが「コーポレートガバナンス改革」。これは今、成長戦略などの枠組みに組み込まれ、政府も推進しているそうですが、「それは大きな間違い」と指摘します。

コーポレートガバナンス改革は、1997年の商法改正にあたりストックオプションを導入したところから始まり、その後、金融ビッグバンや会計ビッグバンが進行。金融ビッグバンとは、「要は資本の国際的移動を自由化する、外国人株主が日本の株式市場にどんどん参加できるようにするというのがポイント」と室伏さん。しかし、一方で金融商品が運用しやすくなり「家計の貯蓄を株式市場に流そうというところがある、裏を返せばとんでもない話」と補足します。

さらには国際会計基準が導入され、結果として「短期で利益をあげろという話になってしまった」と室伏さんは言います。その他にも社外取締役制度が導入され、これは今回の改正で義務化されましたが、「義務化されているのはアメリカだけ」。

ここまで話を聞き、MCの堀潤は「米国の投資家のための改革に聞こえる」と率直な感想を示すと、室伏さんも同意。そして、「ROE(株主資本利益率)、要は資本を投下した人に対してどれぐらいの利益があがっているのか、とにかく利益を出せという話になっている」と示唆。

その結果、財務省「法人企業統計」を見ると企業の売上はほとんど伸びず、設備投資や従業員給与はむしろ下がるという形に。「なのに経常利益は3倍で、配当利益は6倍」とその実情を明かします。

「売上が上がっていないのに配当金がどんどん上がっていて、吸い上げられている」と指摘する堀に、室伏さんは「経常利益が3倍になっているというのは、結局給料を減らすことと設備投資をしないということ。イノベーションもへったくれもない」と憤ります。

総じて室伏さんは、短期主義に落ち入り、無駄な設備投資をせず、さらには不採算部門の売却などをしてしまうと「経済成長しなくなる」と指摘。「不採算部門を売らなかったからこそ、ノーベル賞を取るような研究結果が生まれたりする」と言います。

さらには賃金カットの「低賃金化」が進むと、「雇用の不安定、低賃金でお金がないから結婚できない。結婚したとしても子どもを産み、育てることができるような収入が得られない。“貧困化”、“少子化”を招いている」と言及します。

これらのことは2015年の「労働経済白書」でも「企業の利益処分の変化が賃金が上がらない原因」とあるそうで、室伏さんは「利益処分とは、まさに配当にまわしてしまって従業員にまわしていないということ」と解説。

また、自民党の中でも、あんどう裕衆議院議員らによる「日本の未来を考える勉強会」が会社法改正の是非を問うも、「多勢に無勢で一蹴されてしまった」そう。しかし、「せめて賃金が低なっているもう1つの理由である『労働者派遣法』の規制を強化しましょうという話は提言の中で言っているような状況」と話していました。

Source : 国内 – Yahoo!ニュース

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