沖縄県・宮古島周辺で陸上自衛隊員10人が乗ったヘリコプターが消息を絶った事故は、原因がはっきりしないことからインターネット上では外部から攻撃を受けたとの臆測が飛び交っている。その可能性について防衛省関係者に取材した。
ヘリは、航空自衛隊宮古島分屯基地を6日午後3時46分ごろ離陸。54分ごろの無線連絡を最後に、56分ごろにレーダーから機影が消失した。陸上幕僚長は同日夜、現場海域で機材らしきものが発見されていることなどを理由に「航空事故」と表明した。
その後、インターネット上ではヘリが中国軍の攻撃を受けて墜落したのではといった内容の書き込みが相次いだ。前日の5日に中国海軍の空母「山東」が沖縄の南で初めて確認されていたことから、関与を示唆するような書きぶりもあった。事故後に海上でヘリの一部とみられるものが見つかったことも、攻撃で破壊されたと受け止められる一因となったようだ。
攻撃の手法として指摘されたのは、ミサイルが撃ち込まれたといった直接的なものと、機体に不具合を起こす電波を発信したという間接的なものだ。
実際はどうなのか。
ヘリの任務に精通した防衛省幹部によると、ミサイルで攻撃を受ければ大音量の爆発音がとどろき、機体は粉々に砕け散るという。しかし今回の事故では大きな音を聞いたという地元の証言はなく、ミサイルで破壊されれば海上に多数浮かんでいるはずの残骸も確認されていない。見つかったのは外れやすい機体の外側の部品とみられるものばかりだという。
ミサイルを発射できる戦闘機や、ヘリに体当たりできるドローンを含め、国籍不明機の領空への接近も確認されていない。国外からミサイルが発射されたとすればレーダーで捕捉されるが、飛翔体(ひしょうたい)も探知されていない。こうしたことから、ミサイルによる攻撃を受けた可能性はないと判断されているという。
機体に不具合を起こすような妨害電波による攻撃はなかったのか。
同じ防衛省幹部によると、機体を対象とした電波だとしても、その影響は機体周辺の広範囲に広がり、管制塔のレーダーにもノイズが乗ったり、通信不通になったりと異常が出ることは避けられない。だが、そうした報告はなく、民間の通信機器などへの影響も今のところ確認されていない。妨害電波は航空機や艦艇だけでなく車両でも発射できるとされるが、地上から妨害する行為について「そこまでのリスクを冒すことは考えにくい」。この可能性もないと判断されている。
「攻撃を受けた」とする見方…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル