東京五輪・パラリンピックは、安倍晋三首相が国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長に提案する形で1年程度の延期が決定した。延期により会場確保などで追加経費が発生するうえ、年間3兆円超とも想定されていた経済効果も当面見込めなくなった。損失を被る企業も多いとみられ、政府は新たな景気刺激策を講じざるを得ない状況になりそうだ。
「日本は日本として開催国の責任をしっかり果たしていきたい」。首相は午後8時から45分間にわたる電話会談後、同9時過ぎに首相公邸の正面玄関前で記者団の取材に約3分間応じ、延期の必要性を説くようにゆっくりと語った。
淡々とした表情で未練を感じさせない様子だったが、会場確保のめどを問われたときにわずかに苦笑。「しっかりと調整をしていくことになる」などと語ると、車に乗り込んだ。
先に車で公邸から去った組織委員会会長の森喜朗元首相らも、淡々としているように見えた。
延期決定でまず課題になるのが大会施設の確保だ。東京ビッグサイト(東京・有明)など民間施設も会場になっており、使用時期の変更や延長が必要になる。すでに来年の予約を受け付けている施設もあり、国や都などが補償や負担を求められる恐れがある。
景気への影響も生じそうだ。選手ら大会関係者や観客らが宿泊予定だった宿泊施設でも、予約が一斉にキャンセルになる。ただでさえ、新型コロナの感染拡大で客足は遠のいており、ダブルパンチといえる。
五輪開催による今年の経済効果について、民間シンクタンクは、3兆円超から数千億円までさまざまな試算を出していた。訪日客の増加や関連特需が期待できるためだ。
中止ではなく延期であるため、開催される来年には同様の効果が見込めるとはいえ、一時的に需要の減少に直面するのは避けられない。政府は、関連企業に対する資金繰り支援などだけでなく、当面の消費活性化策も求められそうだ。(田中一世、田村龍彦)
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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