政府が全額出資する日本貿易保険(東京都千代田区)発注の事業で入札に関する情報を業者に漏らしたとして、警視庁は29日、同社元顧問の浅原泉容疑者(72)=東京都小金井市前原町=を公契約関係競売入札妨害の疑いで逮捕し、発表した。業者は事業を受注するため、浅原容疑者に飲食接待を繰り返していたという。
捜査2課によると、浅原容疑者は日本貿易保険のシステム開発事業の入札にあたって2017年3月、システム関連会社「ラック」(千代田区)の部長級社員らに審査の評価基準などの情報を漏らしたり、提案書の一部を自ら作成したりした疑いがある。容疑を認めているという。同庁は部長級社員ら3人も、不正に情報を得たとする同容疑で書類送検する方針。
部長級社員らはこの半年前から、飲食店などで十数回にわたり十数万円相当の接待をしていたという。事業は同月22日にラックが約51億円で落札したが、昨年10月に社内調査で不正が発覚し、中止された。
浅原容疑者はシステム専門家として日本貿易保険と業務委嘱契約を結んでいた。みなし公務員には当たらないため、収賄罪の適用対象外という。
日本貿易保険は「捜査に全面的に協力し、再発防止に取り組む」とのコメントを出した。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル