〈3年前の5月。政府の判断で検察幹部の定年延長を可能にする法案に、SNSで批判が広がった。「#検察庁法改正案に抗議します」。数日間で数百万件とも言われた賛同の投稿の中には、芸能人のものもあった。俳優の小泉今日子さん(57)もその一人だ〉
あのころってコロナ禍で私の会社もお休みにして、ずっと家にいたんですね。コロナのこともまだ情報が混乱していたし、SNSを見ると、みんな仕事ができなくなっていることにすごい不安や不満を抱えていて、今にも爆発しそう、っていうふうに見えてたんですよ。
そんな時に、何だか勝手に事が進んでいることがあるってことに、よりみんなが不安になっているって見えて、これはちょっと小さな風穴を開けた方がいいのではないかなと思って。それで自分も、意見を言ってみようかなと思ったんです。
1987年5月3日、兵庫県西宮市の朝日新聞阪神支局で記者2人が散弾銃で撃たれ死傷した事件から36年。言論を封殺しようとする動きは今もはびこります。私たちが喋り続けるためにどうすればいいのか、考えます。
これって政治的な発言なのかな?
〈だが投稿への風当たりは強く、中傷の標的になった〉
「芸能人のくせに」とか「アイドルのくせに」とか、ツイッターでたくさん来ました。事務所に電話がかかってきたり、メールや手紙が来たりも。
「芸能人が政治的発言をして」みたいな批判をよくされるんですけど、政治的な発言かな?って思うんですよね。国民的な発言なのではないか、と。
でも、(中傷を)色々言われるのも仕事のうちだって思うんで、傷つくって感覚ではないですね。
ドラマに出ても、下手だ、ブスだ、太った、老けたとか、何をやっても言われる立場で仕事しているので。いけない性格かもしれないですけど、逆に少し闘志が燃えるってところもあるんですね、自分を否定されると。ぐっ、とおなかに力が入る感じ。
なにかと風当たりの強い、芸能人の意思表明。小泉さんがツイッターで気持ちを伝えるきっかけになった出来事や、吹き荒れた逆境など、テレビでは見られない一面を語ります。
当時、「#検察庁法改正案に抗議します」を投稿して、私と同じように攻撃に遭ってツイートを取り消さなくちゃいけない状況になった人も見かけました。
私はもう50歳も過ぎた人間…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル