投票率71.86%。1月中旬に投開票された台湾総統選は市民の大きな関心を集めました。一方、2021年にあった日本の衆院選では55・93%にとどまります。
なぜ、台湾では政治への関心が高いのか。北海道大学で公共ジャーナリズム論を教える台湾出身の許仁碩(シュジェンシュオ)助教(37)は「小学校から校則づくりに参加するなど、政治参加への意識が日本より染みついているかもしれない」と言います。
自民党派閥の裏金問題で政治不信が高まる中、日本が台湾から学べることとは――。
盛り上がった総統選、日本との違いは?
――在外投票ができないため、台湾に戻って投票する海外在住者もいたと聞きます。
私も北海道から戻って投票しました。
台湾の市民が多く住んでいるのは中国です。もしかしたら中国当局から何らかの介入があるかもしれないという思いを抱く人は少なくありません。
不正を防ぐために在外投票は認められていませんが、多くの人が交通費を負担して投票に戻りました。
私の場合は研究の一環として、投票とともに総統選に取材や視察に来ている各国のメディアやNPO関係者に話を聞きました。
ベトナム人からは「透明性が高い」、シンガポール人からは「自由度が高い」、日本人からは「盛り上がっていいですね」と言われました。
――日本では、政治家たちの裏金事件を受けて、内閣支持率は23%に落ちました。政治に不信感を抱く人や、そもそも政治に興味を持てない人も増えつつあるように思います。
台湾でも政治とカネの問題は起きています。総統選でも、買収や企業との癒着などの政治汚職の問題が争点の一つとなり、厳しい目で見られました。
勝利した民進党政権は3期目に入ります。警戒心を持つ有権者も多く、「汚職があれば、他の党に票を入れる」という警告を出し続け、党も緊張感を持っているように感じます。
日本も2009年の政権交代の際は、政治への関心がとても高かった。10年ちょっと前の話です。
政治資金の問題で政治家に不信を持ったから、選挙なんてどうでもいいというわけにはいかない。民主主義を完成に近づけるためには、有権者も協力しなければならないと思います。
一方で、政治参加への環境を整えるのは政治家の一つの役割です。
――台湾ではどのような環境が整えられているのでしょう
大きいのは教育です。05年の大学法改正で、大学が学生に関するルールを決める際には、教授や大学職員に交じって、10%以上の学生代表の出席がなければ、何も決まりません。
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13年には高校でも適用され…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル