香川県議の政務活動費に違法な支出があったとして、市民オンブズ香川が県議らに返還させるよう浜田恵造知事に求めた訴訟の控訴審を巡り、一審で違法と認定された970万円(23人分)を県議らが一斉に返還する方向で調整し、控訴取り下げも検討していることが分かった。複数の会派の県議が朝日新聞の取材に明らかにした。
また、同様の支出は選挙区内の有権者への寄付にあたるとして、県議ら21人が公職選挙法違反(選挙区内での寄付)の疑いで刑事告発されており、これらについても一斉に返還する方向で調整していることが分かった。
告発状は今年6月、市民オンブズ香川が高松地検に提出した。対象は県議・元県議の計21人で、総額は約1626万円(2018年7月~19年度)。県議らは有権者が集まる祭りや会合の際、政活費から「意見交換会会費」などの名目で、主催者側に現金5千円や1万円を繰り返し支出しており、これが「対価性がなく実質的な寄付行為にあたる」と訴えていた。
今年6月には菅原一秀・元経済産業相=東京9区、議員辞職=が計約80万円の現金や生花を渡したとされる事件で、罰金40万円、公民権停止3年の略式命令を受けており、オンブズ側は「同様の違法行為が県内で続けられてきた」としていた。
一方、同様の政活費の支出(13年度分)を巡っては、民事訴訟でも争われ、高松地裁は4月、使途基準に合わない違法な支出と認め、計約970万円を返還請求するよう浜田知事に命じる判決を出した。県は判決を不服として控訴していた。
県議らは控訴審で争う中で、各会派内で返還の是非を検討。返還に応じる方針がまとまり、今後、県議会全体として知事側とも調整に入る。ある県議は、返還に転換したのは刑事告発が契機だと明かし、「仮に全員が起訴されたら、県政の大混乱は避けられない」と話した。
告発対象の県議の一人は「全国都道府県議会議長会の考え方に基づいた県のマニュアルに沿って支出し、地元でも常識の範囲内と認められていたと感じていた。刑事告発を受けたことを重く受け止め、返還を決めた」と話した。
市民オンブズ香川の植田真紀代表は「一斉返還の意向自体は一定評価するが、寄付行為が消えるわけではない。引き続き追及していく」と話した。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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