昭和天皇の末弟の故・三笠宮崇仁さまの日記類や直筆原稿、ゆかりの品などを展示した「ある皇族の100年―三笠宮崇仁親王とその時代―」が、学習院大学史料館(東京都豊島区)で開かれている。12月3日まで。三笠宮さまの伝記が12月15日に刊行される予定で、その編纂(へんさん)に使われた史料や関連の品々とともに、生涯も紹介している。
三笠宮さまは2016年、100歳で逝去した。戦時中は軍人として戦争を体験し、戦後は古代オリエント史の研究者として知られた。
■日々の動静を詳細に記録
展覧会の見どころは、三笠宮さま誕生の1915年から21歳の36年まで、御養育掛や看護婦(当時)らが計162冊に記録した「御側(おそば)日誌」の一部だ。宮家に所蔵されていた。
「聖上御立寄(せいじょうおたちよ)リアラセラレ殿下(でんか)ニハ新道(しんどう)ニテ御奉迎(ごほうげい)」「皇后宮還御(こうごうぐうかんぎょ) 御奉迎(ごほうげい)ノ上五時四十分還御(うえごじよんじゅっぷんかんぎょ)」
22年3月30日の日誌には、当時6歳の三笠宮さまが、大正天皇や貞明皇后と対面したことが記される。
こうした日々の様子をはじめ、健康状態や食事・おやつの内容、後に昭和天皇となる兄で皇太子の裕仁親王との触れ合いが分かる史料もそろう。学芸員の吉広さやかさんは「両親と離れて御殿の主として側仕(そばづか)えの人たちに囲まれて暮らす天皇の子としてのご生活や、日々のご動静がこれだけ詳しく記載されている史料は珍しく、関係者も驚いた」と話す。
■初公開の日記や自画像、ユニークな歌も
そのほか、三笠宮さまが幼少期に使った食器や3歳の時、初めて1人で作ったセミの折り紙、学習院初等科の制服姿の自画像、中等科時代の直筆の日記なども展示される。
21年夏、5歳だった三笠宮さまが詠んだとされる歌、「サトウハアマクヲイシクテギウニユウナンカニイレテノム」も公開。吉広さんによると、三笠宮さまは幼い頃から、貞明皇后がカタカナでしたためた数十首の和歌に触れていて、七五調のリズムに慣れ親しんでいたという。この歌と対になるような「シホ」という歌を詠んだ短冊も一緒に宮家から見つかり、併せて展示している。こうした歌は後に童謡として一部がレコード化された。
■ご夫妻の合作のノート、愛用の品も展示
三笠宮さまは戦後、東京帝国大学(のちに東京大学)研究生として、本格的に歴史を研究し始めた。ヨーロッパの宗教改革や旧約聖書、ヘブライ史から古代オリエント史へと研究を進めた。
公務で講義を休んだ際、友人から借りたノートを妻の百合子さまが書き写したとの逸話も、展示された講義ノートと共に紹介される。
外国訪問時にご夫妻が撮影した写真のスライドや、三笠宮さまが研究の際に長年愛用したヘブライ語のタイプライターもあり、吉広さんは「等身大の皇族のお姿やご生涯を凝縮して展示している」と語る。
■伝記には百合子さまが明かす素顔も
今回の展覧会を開くきっかけとなった三笠宮さまの伝記「三笠宮崇仁親王」には、孫の彬子さまが聞き手の一人として、11回にわたって、百合子さまにインタビューした内容も収められるという。
展覧会は入場無料。月~土曜の午前10時~午後5時。詳しくは、同史料館(https://www.gakushuin.ac.jp/univ/ua
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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