聞き手・辻隆徳
田中ウルヴェ京さんに聞いた
サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会で、日本が優勝経験のあるドイツ、スペインを破って決勝トーナメントに進出し、日本国内は歓喜に沸いた。一方、0―1で敗れた第2戦のコスタリカ戦後には、一部選手のSNSへの悪質な書き込みが問題となった。
「誹謗(ひぼう)中傷」と「批判」の違いは何なのか。我々が気をつけなければいけないこととは――。ソウル五輪銅メダリストでスポーツ心理学者の田中ウルヴェ京さんに聞いた。
――コスタリカ戦のあと、DFの吉田麻也選手や伊藤洋輝選手のSNSには「戦犯」「12人目のコスタリカ選手」などという書き込みが数多くありました。これを「誹謗中傷ではなく、批判だ」という声もあります。
「誹謗中傷とは何か? わかりやすい例としては、人格、人種など『選手』としてではなく、『人』として変えることができないものについて悪く言い、その人を傷つけることでしょう。法的措置をとることができます」
「批判とは、根拠をもとに、良いところと悪いところを分けて評価したり、検証して論じたりすることです。そして、批判にも『やり方』があります。目的が何なのか。いじめたい、目立ちたい、怒りをぶつけたいという自己主張が目的だとすれば、それは“悪質な”批判、あるいは誹謗中傷でしょう。そもそも、視聴者や観客の我々には見えているものが限られています。彼らと同じ立場で一緒に戦っていない時点で、私たちには『一人一人の選手がどういう状況だったのか』についての事実をもとにした根拠を持っていないわけで、批判をする立場にありません」
自分のSNSに書き込まれていたら、どう感じるか
――「戦犯」「12人目のコスタリカの選手」といった悪質な書き込みはどうでしょうか。
「これらの言葉は戦術や戦略…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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