教員が強制わいせつ有罪、市教委が懲戒処分しないまま失職 相模原

 相模原市立中学校の男性元教諭(39)が横浜地裁相模原支部で、知人の女性教諭への強制わいせつ罪で有罪判決(懲役1年6カ月、執行猶予4年)を言い渡されていたことが、関係者への取材でわかった。元教諭は有罪確定を受けて、地方公務員法に基づき失職しているが、市教委は懲戒処分をしていないままだった。

 判決によると、元教諭は2021年2月、相模原市内で女性教諭に無理やりわいせつな行為をした。捜査関係者によると、神奈川県警が被害届を受けて、在宅で捜査。同5月に書類送検し、その後起訴された。

 市教委は起訴後の同11月、元教諭を休職処分としたと発表した。事件直後から複数回聞き取りを行ってきたが、元教諭は一貫して「酔っていて覚えていない」と回答したことなどから、懲戒処分はしなかった。初公判で起訴内容の一部を認めたが、市教委は「責任能力の有無を含めて、司法判断を待つことにした」という。

 地方公務員法では、教職員も含めて、禁錮刑以上が確定すると職を失う。地裁支部での判決後も、市教委教職員人事課は「控訴すれば無罪になる可能性もあると考え、推移を見守っていた」。元教諭は控訴せず有罪が確定し、失職したため、処分できる機会がなくなったという。市教委は控訴期限の当日、元教諭に教員免許の返納を求め、退職金を全額不支給にした。懲戒免職と同様のペナルティー内容という。

 女性教諭の知人によると、女性教諭は被害を受けた後、体調を崩して休職し、通院を続けている。いまも仕事に復帰できていないという。元教諭を相手取り、東京地裁立川支部に訴訟を起こした。「懲戒処分を一つの区切りに前に進みたい」と考えていたが、市教委が元教諭に対する懲戒処分をせず、職員や生徒、保護者に伝えていないことに不信感を抱いているという。(大宮慎次朗、岩堀滋、編集委員・北野隆一

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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