「休日出勤や長時間労働のイメージがある」。岐阜県教育委員会が県内7大学の4年生を対象に今年3月に実施した調査で、学校教員以外の進路を選んだ学生の79・0%が、労働環境を理由に挙げた。「職務に対して待遇(給与など)が十分でない」との回答も64・4%に上った。
県独自で実施した初めての「教職魅力化に関する大学生調査」。県教委は教職をより魅力ある職業に改善するため、取り組むべきことを具体化する基礎資料にするという。
調査対象は、県内7大学で教育学部に在籍しているか、教職課程を履修した4年生724人。回答率は37・7%だった。
学校教員を進路に選んだ理由について、「児童や生徒と関わることが好き」との回答が「とても当てはまる」「やや当てはまる」を合わせて計96・5%に上った。「自分の取得する免許の教科・領域が好き」は計91・3%、「理想となる先生に巡り合えたから」は計85・0%だった。
一方、「給料がよい」は計59・9%、「産育休を取りやすい」は計53・8%だった。
県教委は「教職そのものが好きという理由や過去の経験、仕事の安定性から教員を選択している。給料や産育休を取りやすい環境は、そこまで大きなファクター(要因)ではない」と分析する。
教員になる学生が選んだ働く場所(岐阜県、名古屋市、愛知県、その他のいずれか)について、その理由もたずねた。「教育実習時によい経験ができた」が計74・6%、「理想の先生や自分が受けた教育のイメージがある」が計74・0%に上り、自分の体験の要素が大きいことがうかがえるという。
県教委は、調査結果を受けて、児童生徒が教職に魅力を感じるように、学校での日々の指導を充実させる▽教育実習を充実させ、教職員が取り組む業務の必要性や意義などを丁寧に説明する▽働きやすい職場づくりを進め、公務員としての待遇の良さをアピールする――など、今後の方針を示している。(保坂知晃)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル