伊藤和行
教員免許に10年の期限を設け、講習を受けなければ失効する教員免許更新制について、文部科学省が現職教員2108人に行ったアンケートの結果が5日、公表された。自由記述の回答が1693人からあり、そのうち約50%の853人が「制度自体を廃止すべきだ。制度に意義を感じない」という趣旨の答えだった。
調査は文科省が委託した民間調査会社が4月28日~5月11日、全国の幼稚園、小中学校、高校、特別支援学校の教員にインターネットで実施。結果は5日にあった中央教育審議会(文科相の諮問機関)の教員免許更新制小委員会に報告された。小委員会はこの結果もふまえ、制度の存廃について結論を出す。
制度全般への自由記述(任意回答)は「廃止すべきだ」が最多を占め、理由として「研修がたくさんあり(更新講習は)必要ない」「経済的・時間的な負担、受講内容の有効性など様々な問題がある」などが挙がった。自由記述で次に多かったのが「受講料の支出(交通費を含む)が負担」で335件(19・8%)、「多忙・負担増の要因」が140件(8・3%)だった。
免許更新のため、2年間かけて30時間以上を受講しなければならない講習の総合的な満足度については、「不満」「やや不満」が計58・5%で、「満足」「やや満足」の計19・1%を上回った。一方、制度の目的である「最新の知識・技能を修得できる講習内容か」の質問には、「思う」「やや思う」が計52・6%で、「思わない」「あまり思わない」の計44・8%を上回った。ただ、「教育現場に役立っているか」という質問には「役立っている」「やや役立っている」が計33・4%で、「役立っていない」「あまり役立っていない」の計37・8%を下回った。(伊藤和行)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル