生まれによって学力や学歴など成果に差がある「教育格差」を、教師を目指す学生に学んでほしいと、研究者たちが教科書をつくっている。「学校現場で役立つものに」との呼びかけに応え、現役の教員らが計8回のオンラインでの編集会議に参加。各回約70人が、原稿を読んで議論を重ねた。
教科書の仮題は「現場で使える教育社会学」。ともに教育社会学を研究する東京大の中村高康教授と早稲田大の松岡亮二准教授が呼びかけた。
きっかけは松岡准教授の2018年の調査だ。小学校の教員免許が取れる全214大学520科目の17年度のシラバスを調べたところ、格差や貧困が出てくる科目は全体の1割程度だった。「教育格差を全く学ばないまま免許を取る学生が大多数を占める。これでは生活の厳しい子どもや保護者の状況を理解するのは難しいのでは」と松岡准教授。大学でも教育現場でも活用される教科書が必要だと2人は考えた。
気鋭の研究者を集め、理論だけでなく、いじめや不登校、部活動、進路、保護者との関係、ジェンダー、マイノリティーなど学校が直面するテーマについての研究の知見を中心に執筆。さらに「オンライン編集会議」を開催。SNSで呼びかけて集まった現役の教師や教師を目指す学生、大学院生が原稿について質問したり議論したりした。
編集会議は8~10月までの土…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル