文・井上正一郎、写真・新井義顕
紅葉がかすかに残るその先に、大小様々な「ダルマ」が姿を見せる。胸には「勝」の文字。そのまなざしに思わずドキッとした。
目の前に幻想的な光景が広がった。水面に映る朱色の大きな山門と霧に包まれたお清め橋がそっと輝く。不思議と心が洗われた気がした。
大阪府北部・箕面(みのお)市の山中に、勝ち運祈願の寺として知られる勝尾寺(かつおうじ)はある。紅葉の名所でもあり、11月の週末には閉門時間を延長し、色づく葉を照らすライトアップが行われ、多くの参拝客が訪れた。12月の今は、帰路につく参拝客の足元を照らすための点灯をしている。閉門までのわずかな時間しか見られない、美しい景色だ。
創建は727年で、元々「弥勒寺(みろくじ)」と称した。880年に第6代座主の行(ぎょう)巡(じゅん)上(しょう)人(にん)が、朝廷の権力では及ばなかった清和天皇の病を祈禱(きとう)で治したことから「王に勝った寺」との意を込め「勝王寺」の名が贈られたという。寺側は恐れ多いと読み方は変えず、王の字を控えて「勝尾寺」としたと伝わる。
平安末期に源平の争乱で、本堂を含む大部分が焼失したが、源頼朝によって再建されて以来、多くの武将らが勝運祈願に訪れ、勝ち運の寺として広く信仰されてきたという。境内の一角には、数百個の「勝ちダルマ」が並ぶ奉納棚もある。勝尾寺では、ダルマの底には「目的」を、背中には目的を達成するための「目標」を書き祈願するのだという。
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「ダルマは自分自身と向き合…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル