16日に閣議決定された安全保障関連3文書には、敵基地攻撃能力(反撃能力)を担う「スタンド・オフ・ミサイル部隊」の設置が盛り込まれた。扱うミサイルの能力向上や配備スケジュールの検討は、すでに進められている。
スタンド・オフ・ミサイルは、相手の射程外の離れたところから攻撃できる長射程のミサイルだ。政府はこれを「反撃能力」と位置づけて保有を決めたとされる。
3文書の一つ、防衛力整備計画には、スタンド・オフ・ミサイル部隊として、陸上自衛隊に地対艦ミサイル連隊(7個部隊)、島嶼(とうしょ)防衛用高速滑空弾大隊(2個部隊)、長射程誘導弾部隊(2個部隊)を置くことが記述された。
地対艦ミサイル連隊は、12式地対艦誘導弾の能力向上型を運用する。能力向上型の射程は1千キロ程度。水上の艦艇をターゲットとするミサイルだが、防衛省関係者によると、陸上の敵基地への攻撃に転用することが可能とされる。地上から発射するタイプは2026年、艦艇から発射するタイプは28年、航空機から発射するタイプは30年からの部隊配備をめざすという。
「島嶼防衛用高速滑空弾」は変則的な軌道が特徴で、上下の高度変化があり、予測困難な動きを見せる。26年から同部隊に配備予定で、能力向上型は30年代頭の配備をめざす。
長射程誘導弾部隊は通常のミサイルよりも速度が速い「極超音速誘導弾」を30年代前半に配備し、運用する予定だ。どちらも射程は1千キロ以上とみられる。
ただ、これらは部隊配備に時間がかかることから、それまでの措置として、米国製の巡航ミサイル「トマホーク」を導入して海上自衛隊が運用する予定だ。約1610キロ離れた場所から正確に攻撃できる能力を持つとされる。
このほか、空自のF15戦闘機の能力向上機に搭載する対地ミサイル「JASSM―ER」(射程900キロ)、最新鋭のF35A戦闘機搭載の「JSM」(同約500キロ)を米国などから導入し、航空自衛隊が運用することが決まっているが、納期が遅れるなどしている。(成沢解語)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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