文化財に貴重列車、国鉄の名残も JR多度津工場を探検

 JR四国の多度津工場(香川県多度津町)は、車両検査や補修を行う唯一の工場だ。工場内には登録有形文化財が7棟あり、貴重な車両や機器が残る。国の支援を受け、新年度以降に大規模な更新が計画されている。工場を訪ねると、黙々と検修作業に取り組む職員の姿があった。

 検修作業ではまず、車両をつり上げて床下の台車やエンジン、モーターなどと分離する。分離した台車は職員が線路上を手で押して移動させていた。台車などを洗浄する機械、車体を塗装する機械なども老朽化が目立つ。がらんとした建物内では、台車やエンジンを囲む職員が小さく見えた。

 敷地内には大規模な建物が立ち並ぶ。「新しいものでも20年以上、古いものは100年以上たっている」と、車両課副長の今井聡博さんが説明する。7棟は2009年に国の近代化産業遺産、12年には登録有形文化財に指定された。

 最も古いのは1888(明治21)年建築の「職場15号」。今も作業場として使われ、この日は特急電車の座席を補修していた。旧西条海軍航空隊(愛媛県)の格納庫を1948年に移築した「会食所1号」も社員食堂として利用されている。「職員数が多かったときはもっと広く食堂として使っていたが、今は一部です」と今井さん。配膳口の鴨居はゆがみ、「JNR」の「国鉄マーク」は、「N」を消して「JR」にした跡が残る。

 珍しい車両も保存されている。…

2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment