文化財も8・6の記憶も次世代へ 被爆体験集、修理技師の思い凝縮

 広島への原爆投下から6日で78年になった。被爆体験の継承は年々難しくなっている。そんな中、奈良ゆかりの被爆者や家族たちの声を収めた冊子が完成し、好評だ。解散した被爆者団体が発行した手記集などわずかな手がかりを基に、貴重な記憶を掘り起こした。

 冊子は奈良県生活協同組合連合会が発行。広島市生まれで奈良市在住の文化財修理技師・入谷方直(いりたにまさなお)さん(50)が編集委員会代表を務めた。奈良には県原爆被害者の会「わかくさの会」があり、全3巻の被爆体験の手記集を発行していたが2006年に解散。手記集全巻を原本で所蔵する図書館はなかったという。

 失われていく8月6日の記憶。入谷さんは文化財の修理と同じく、継承する行動が必要と考えた。情報収集を続けては、手記集の執筆者や家族を探して話を聴き、再掲載をお願いしてきた。3章からなる冊子「奈良県のヒバクシャの声~地域で継承する被爆者の思い~」(A4判、110ページ)には、そんな渾身(こんしん)の取材成果が凝縮されている。

 1章は手記集を中心に再掲載…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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