地域に伝わる文化財をどう守り、未来につなぐか。小谷竜介さん(52)は、10月1日で開所から3年を迎える国立文化財機構の文化財防災センター(文防、奈良市)で、統括リーダーを務める。防災や減災、修復の技術開発、文化財救援。日頃から地域の人々が文化財に関わる大切さを訴える。
小さい頃から、面白いものがたくさんある「博物館という装置」が好きだった。そこで働く学芸員になりたいという夢を抱きながら、人の営みにも興味を持ち、文化人類学の道に。集落や自治会をテーマに国内でフィールドワークを重ねた。
大学院を修了した後、民俗学の学芸員として宮城県立の東北歴史博物館(多賀城市)に職を得た。ただ、この時点では「文化財のことはよく知らず、保護行政にもほとんど関心がなかった」と振り返る。
転機となったのは10年後、同県の文化財保護課に異動した時だ。
当時、県が特別名勝・松島の世界遺産登録を目指したが、住民らは「家が増築できないなどの規制が、さらに厳しくなるのでは」と懸念し、摩擦が表面化していた。文化財としての価値付けをしながら、保護の範囲をどう設定するのか。住民との調整に直面しながら、「文化財保護にあたっての行政の役割を学びました」。
市町村から埋蔵物以外の文化財の相談もされるようになり、法と行政の理解に手応えを感じ始めていた頃。2011年3月11日が訪れた。
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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