フランスにちなんだ本を専門に取り扱うブックカフェが、福岡市中央区にある。店主はフランス人の男性で、漫画を通じて親しみを覚えた日本に移住。フランス仕込みのサービスもあり、「本を通じた交流の場になれば」と話す。
福岡市中央区谷1丁目にある2階建ての商業施設「裏。六本松」。コインランドリーや飲食店などが入る建物の2階に、ブックカフェ「Nautilus(ノティリュス)」がある。
拡大する店にはテラス席もある=2020年10月9日午後3時17分、福岡市中央区、島崎周撮影
フランスのシャンソンやラジオが流れる店内には、「星の王子様」「海底二万里」「ルパン、最後の恋」「おばけのバーバパパ」など、フランス人作家の作品が並ぶ。「不便でも気にしないフランス人」「嫁はフランス人」といったフランスにちなんだ本も。文学、歴史、人文学、芸術、漫画、料理、児童書など、分野別に500冊ほど。8月にオープンした。
店主のジャンマリー・プルドンさん(38)は、仏ナント出身。本や漫画が好きで、中学生の頃から書店をやりたいと思っていた。短期大学で書店の経営や在庫管理、作家について学び、卒業後、漫画専門店で4年ほど働いた。
「もっと違う環境に行ってみたい」と27歳で漫画で親しみを感じていた日本へ。友人がいた大阪でレストランで働いた。日本に来て、フランスの作品を置く専門書店がほとんどないことに驚き、フランスの作品が一堂に集まる書店をつくりたいと思った。
拡大する店主のジャンマリー・プルドンさん=2020年10月9日午後4時26分、福岡市中央区、島崎周撮影
福岡出身の現在の妻と出会い、29歳で福岡に移住。フランス語教師などを経て、今年8月にブックカフェを始めた。ゆっくり本を手にとってもらったり、イベントをしたりしたいと、書店をするなら、ブックカフェと決めていた。店名は、同じナント出身の作家ジュール・ベルヌの代表作の一つ「海底二万里」に出てくる潜水艦の名前からとった。
出版社の総目録を取り寄せ、フランス語原典の作品を探した。「好きな本は手元に置いてほしい」と、本は購入できるようにしている。
店では、以前働いた福岡市の「ハニー珈琲」のスペシャルティーコーヒーのほか、ベトナム産のチョコレートなどを提供。フランスではたいていコーヒーを注文すると、甘いおやつが添えられるといい、1ドリンクにつき、一口サイズのお菓子もついてくる。
拡大する店内ではコーヒーやチョコレートも買うことができる=2020年10月9日午後3時19分、福岡市中央区、島崎周撮影
プルドンさんは「コーヒーを飲みながら、ゆっくりフランスの文化に触れてほしい」と話す。
営業は月曜が正午~午後7時、火曜から土曜が午前10時~午後7時。日曜休み。問い合わせは同店(090・3735・8372)へ。(島崎周)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル