原田悠自
文部科学省の私立大学支援事業で便宜を図る見返りに、東京医科大に次男を合格させてもらったとして、受託収賄の罪に問われた同省の元科学技術・学術政策局長・佐野太被告(62)ら4人の公判が27日、東京地裁であった。検察側は、佐野元局長に懲役2年6カ月を求刑し、「大学入試の信頼を損ね受験生に不公平感を与えた」と述べた。
また、贈賄罪に問われた同大前理事長の臼井正彦被告(80)に懲役1年6カ月、前学長の鈴木衛被告(72)に懲役1年、受託収賄幇助(ほうじょ)などの罪に問われたコンサル会社元役員の谷口浩司被告(50)に懲役2年をそれぞれ求刑した。
検察側は論告で、佐野元局長と臼井前理事長らの会話を記録した録音データをふまえ、補助金事業の計画書の助言を部下にさせると発言した佐野元局長について、「自らの名前が出ないよう大学側に口止めし、犯行への関与を秘匿した」と述べた。
そのうえで、見返りとして、2018年2月に受験した次男の得点を臼井前理事長や鈴木前学長に加点してもらい合格させたと指摘。一連の経緯を「次男の合格に向けた綿密な計画で、現金を受け取るよりも悪質だ」と非難した。
無罪を主張する佐野元局長ら4人の最終弁論は、来年2月に行われる。
今年7月には、事件の影響で不当に不合格になったとして受験料の返還などを求めた訴訟で、同大が約560人の受験生に計約6760万円を支払う和解が成立している。(原田悠自)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル