共働きで、2人の子どもは小学生。はっきり言って、毎日の料理が苦痛だ。書店にも「手抜き料理」「ずぼら飯」といったレシピ集が並んでいるが、なんとなく手に取ることは避けてきた。でもなぜ後ろめたさを感じるのだろう――。ズバリ『料理が苦痛だ』という著書が話題の本多理恵子さん(54)に話を聞いた。(聞き手・小田切陽子)
――なぜこのような本を。
13年間、鎌倉の自宅でカフェと「作らない、見ているだけの料理教室」を運営しています。これまで延べ約1万人の生徒さんと触れあって感じるのは、皆さん「毎日のことなのに、料理が苦痛だ」と悩んでいるということです。
後半では、料理が苦痛なときにも作れる本多さんのおすすめ「アレンジ自在!あったか6分チゲスープ」のレシピも紹介しています。
でも、口にすると「ダメ人間」のレッテルを貼られかねず、特に専業主婦は言い出しづらい一言です。だから料理を仕事にしてきた私が率先して「料理は苦痛だ」と世間に言い、「苦痛な時は料理をやめよう」と言いたかった。
――大胆な考えですね。
いま書店に行くと「ずぼら」「手抜き」「時短」と、簡単さをうたうレシピ本がたくさん並んでますよね。みんな楽に料理ができる方法を探している。でも、それで本当に楽になっているのかなと。
そもそも問題は、簡単な方法を取り入れてでも「料理を作り続けなければならない」という部分にあります。逃げ場がない。風邪を引いているのに休まず、風邪薬を飲んで頑張るのと同じような状態ではないでしょうか。
家電が進化し、レシピは読まなくても動画がある。でも、それさえやる気にならないと、「本当に自分はダメ人間だ」と思うようにもなってしまう。だから私が勧めるのは、いっそ「料理をやめる」ということです。
拡大する鎌倉で料理が苦痛な人のための料理教室を主宰する本多理恵子さん
――実践は難しいのでは。
そう思いますよね。でも意外と…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル