朝7時。目玉焼きとトーストを焼き、小学2年と4年の娘たちを起こす。中学1年の長男は、布団から出てこない。今日は調子が悪そうだから、そっとしておこう。
朝食をとる娘たちのそばで、具志堅美乃(よしの)さん(44)は2リットル入りペットボトルのミネラルウォーターを二つの水筒に注ぐ。
汗が噴き出してきた。きょうも沖縄の気温は30度を超えそうだ。
「こまめに飲んでね」。
ランドセルを重たそうに背負う娘の小さな背中を見ると、荷物を増やすのは抵抗がある。
水筒を渡しながら思う。「こんな生活、いつまで続くんだろう」
生まれ育った宜野湾市は、わき水が豊かな土地だ。公園や街中のあちこちに泉がある。水道水をそのまま飲むのも普通だった。近くには青々とした葉が茂る田芋畑が広がる。澄んだ水田で育つ田芋は「水芋(みずいも)」と呼ばれ、昔から地元の名産だ。
「普天間基地もあるけれど、たっぷりの水、おいしい名産だってある」
そんな自慢を打ち砕かれたのは、2年前だ。
2020年4月、市の中心部…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル