大阪府大東市のマンションで大学生の吉岡桃七(ももな)さん(21)が殺害された事件から、28日で1カ月が過ぎた。吉岡さんは自室にいたところ突然襲われたとみられ、友人らは「なぜ」と悲しみに暮れる。府警は、直下の部屋に住み、事件直後に死亡した嘉本悟(かもとさとる)容疑者(48)が関与したとみて、捜査を進めている。
事件は4月28日午前7時ごろに起こった。
「お母さん助けて」
吉岡さんが住む3階の部屋から泣き叫ぶような女性の声を聞いた周辺住民が110番通報した。駆けつけた四條畷署員がベッドの横で倒れているパジャマ姿の吉岡さんを発見した。後頭部を殴られ、太ももを切られるなど体には数十カ所の傷があり、失血死だった。
捜査関係者によると、凶器とみられるバールや、木の棒の先に包丁をくくり付けた手製とみられるやりのようなものがベッドの上に整然と並んでいた。室内にあった別の包丁は、吉岡さんが抵抗する際に使ったものとみられる。
室内には広く血痕が付いていた。玄関ドアの外側にドアストッパーが置かれ、床面から接着剤のようなものも検出された。
ほぼ同時刻、吉岡さんの部屋のベランダから真下のベランダにかけられたはしごを下りる人影が目撃された。直後に2階の部屋から出火し、焼け跡で住人の嘉本容疑者が倒れていた。死因は急性一酸化炭素中毒だった。
嘉本容疑者の服装ははしごを下りていた人物のものに酷似していた。部屋には灯油が残ったポリタンクや着火器具もあり、自ら放火して死亡したとみられる。
府警によると、嘉本容疑者の靴下から吉岡さんの血液が検出され、やりの持ち手部分の指紋も一致した。事件20日前にインターネットではしごと包丁、ポリタンクを購入していたことも判明した。
事前に凶器を用意し、吉岡さんが逃げられないように細工するなど計画的な犯行だったとみられる。府警は、容疑者死亡のまま嘉本容疑者を殺人などの容疑で書類送検する方針だ。(野崎智也)
「部活動やクラスでも輪の中心だった」
吉岡さんは大阪産業大(大東市)の4年生だった。大学関係者によると、サッカー部のマネジャーを務め、部員から頼られる存在だったという。
中学時代の同級生の女性(2…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル