国方萌乃、下地達也、下地毅
和歌山市の紀の川に架かる六十谷(むそた)水管橋が今月3日に崩落し、市北部の約6万世帯(約13万8千人)が断水していた問題で、市は9日午前8時半から、断水地域への給水を再開した。隣の県道の橋に水路をうかいさせる仮復旧工事を24時間態勢で進め、断水から6日ぶりに水が通じた。
いったん配水池にためてから各家庭に給水するため、たまるのに時間がかかることや、配水池から各戸への距離によって蛇口から水が出る時間や水量に差が生じた。また市は、給水開始後は濁り水が発生することもあるとし、水質検査が終わるまで飲み水としての利用は控えるよう呼びかけている。多くの人が一斉に水を使うと水が不足し、濁り水の解消が遅くなるとして節水も求めている。
蛇口から出た久々の水に市民は喜びの声を上げた。
9日午前8時半すぎ、和歌山市上野の湯川直樹さん(37)は元栓を開き、長女の紗名(さな)ちゃん(3)といっしょに家の外の水まき用ホースから水をだした。「やったー。水、でた」と紗名ちゃん。
3日から始まった断水の期間中、最もつらかったことは子どもに我慢をさせたことだという。湯川さんの妻の友衣さん(33)は「4日は紗名の誕生日だった。『ハンバーグが食べたい』って。材料も用意してたのに断水になってつくってあげられなくて。近いうちにつくってあげたい」
水はこの日、台所や洗面所ででなかったり、夕方に少しでたりと不安定だった。直樹さんは「やっぱり一気にみんなで使ってるからやろか」と心配そうに話していた。(国方萌乃、下地達也、下地毅)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル