旧国民民主党の所属議員のうち、立憲民主党との合流に参加しなかった議員を中心とする15人が新「国民民主党」を結党した。旧国民の「政策提案型の改革中道」路線を継承し、野党の弱点だった憲法や安全保障でも前向きな議論を掲げる。次期衆院選に向け、現状の与野党に飽き足りない無党派層へのアピールを狙うが、理想の前には厳しい現実も立ちはだかる。 「政治の世界は上り坂、下り坂、『まさか』といろんな坂がある。だからこそ軸を忘れてはいけない。私はそれでも、政策提案型の中道の政治はこれから必要だと信じている」 国民の玉木雄一郎代表は22日、地元の高松市で開いた政治活動15周年のパーティーでそう語った。「右翼でも左翼でもなく、『仲良く』やっていく」とも述べ、笑いを誘った。 旧国民も「提案型」を掲げたが、政府との対決路線をとる旧立民の陰に隠れ、憲法論議などでは「野党は何でも反対」という評価の中に埋没気味だった。新型コロナウイルス禍では10万円の現金支給をいちはやく提言したが、支持率は上向かず、1%前後をさまようばかりだった。 新党には対決偏重路線と距離を置く議員が参集した。玉木氏は15日の結党大会で「憲法審査会の審議を拒否しない」と明言し、党の憲法改正草案を年内に取りまとめる考えを表明。コロナ対策や、エネルギーや食糧を含めた安全保障分野でも前向きな政策提案に意欲を示した。 15人の小所帯だが、衆院議員7人中6人が選挙区選出と足腰は強い。労組からも電力総連、電機連合の組織内議員4人が参加し、一定の組織力もある。女性比率も3分の1と高く、玉木氏は結党大会で「一人一人の顔を見ていると『大爆発』が起こると思う」と陣容に自信を示した。 ただ、「少数精鋭」を誇れるほどの余裕がないのも事実だ。新立民の150人に比べれば勢力は10分の1。衆院では法案提出に必要な20人を満たさない。資金力にも不安があり、党職員はわずか4人だ。 「理念や政策の不一致」を理由に旧立民との合流を拒んだはずが、先の臨時国会の首相指名選挙では、15人全員が玉木氏でなく、立民の枝野幸男代表に投票した。玉木氏は「衆院選に向け、野党の一員として自公政権に向き合っていくことが重要だ」と理由を語ったが、独自路線はいばらの道だ。(千葉倫之)
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