「何者かになりたい」
そう思ってたのに、新卒1年で「社会不適合者」の烙印(らくいん)を押された。でも今、「弁才天」で年商30億円のフルーツ大福を売る大野淳平さん(34)にとって、「不適合」こそが強みだ。
スタートは「平凡」だった。
地元、名古屋市の小学校の通知表は◎、○、△の3段階で、オール○。とりえがないのがコンプレックスで、丸を書き足して◎にした。
あだ名は「ゼリー君」。友達にお弁当のゼリーをあげたのがきっかけだが、その名の通り、半透明な存在だった。
反動で、中学、高校は思い切りとがった。パンクロックに憧れ、バンドを結成。金髪にし、改造した制服を着て、ギターケースに教科書を入れて通学した。
とはいえ、勉強はそこそこやる。友人から「カリスマ」ともてはやされ、ファンクラブまでできた。
「何者かになる。なれるはず」
自信があった。明治大学に進んだ。
でも、アルバイトもバンド活動も続かない。いざ、自由を得たら、何をしたいのか分からない。6畳のアパートに引きこもった。
社会のレールを外れる勇気もなく、就職活動をした。名古屋に戻り、機械商社に入社。新規事業の担当で、「視察」のために動物園や大学を巡っていた。日報を見た社長に呼び出された。
「遊んでばっかりいるんだろ!」
むっときて反発し、口論になった。すると、こう切り捨てられた。
「お前は、社会不適合者だ!」
1年半で、会社を辞めた。
2社目では「コンプラ違反者」
「どこにも居場所がない」…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル