TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。3月18日(水)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、社会学者の西田亮介さんが、公的機関のSNS運用について見解を述べました。
◆公的機関のSNS運用の在り方
厚生労働省は3月5日、マスクの供給について感染症指定医療機関などに優先供給を行ったことをTwitterで公表しました。これは3月4日に放送されたテレビ朝日の番組内での白鴎大学の岡田晴恵氏による「医療機関に重点的に配る必要がある」とのコメントに反応したものと思われます。このように、厚労省が具体的な番組名を挙げて放送内容に言及するのは異例の事態です。
西田さんは「日本の公的機関はかなり抑制的で、実名で番組を批判したり、SNSを使って反論をしたり、リプライを飛ばすなど、ほとんどやらないで運用されてきた」と言います。
ところが、新型コロナウイルス感染拡大の問題が生じて以降、「実名での反論や番組の具体的な名前を挙げての反論とかが始まっている」と言います。これは厚労省だけでなく、内閣官房や自民党のアカウントなどでもしていたそうで、西田さんの見解としては、「実名反論したらいいと思う」と肯定します。
◆実名反論やリプライはすべき?
その理由について、「SNSは、機能としてリプライを飛ばすこともできるし、実名を書くこともできるので、一般的な利用者からすると、そういう機能を使うのは自然なこと」と話します。そして、もう1つ挙げたのは「日本の場合、マスメディアの力がとても強いこと」。
西田さんは、「キー局の情報番組の視聴率は、大体10%前後。いろいろな計算方法や考え方がありますけど、視聴者数は1%当たり100万人前後だと言われていますから、おそらく1000万人くらい(番組を)観ているんじゃないか」と推測。対して、厚労省のTwitterアカウントのフォロワー数はおよそ63万人であることから、「影響力に非対称性がある。言い方を変えると、良くも悪くもマスメディアの影響がとても強いということ。もしマスメディアがミスリーディングな内容や誤解を広めるような内容を言っているのであれば、それをきちんと公式な見解として情報を出していくのはあり得ること」と主張します。
とはいえ、「危惧しなければならないこともある」とし、「実名反論はリスクコミュニケーションのために行われるべき。それから、人々がパニックに陥らないようにするために行われるべきだということが大前提。と同時に、放送の自由、表現の自由をきちんと守り、侵害しないことには注意すべき」と論じます。
MCの堀潤は、「言論には言論で対抗をということで、お互いに議論し合って情報を磨いていくことがパブリックな場で展開されるのはいいと思う。逆に非対称性が生まれてくるのは、権力のある側から『こうだろ』と言われたときに、メディア側が忖度して(報じることを)自主規制してしまうことが一番の問題なのでは」と提起します。
一方、「抑制的であるべき」と主張したのは、弁護士の三輪記子さん。その理由として挙げたのは、「公権力が(実名を出して)一企業や番組に『ここは正しくない』と言って、判断をしていくことの危険性」。
西田さんが、「WHO(世界保健機関)やアメリカのCDC(米国疾病予防管理センター)は、SNSでのコミュニケーションチームを作ってリスクコミュニケーションに専念する形で、情報発信をしている」と例を挙げると、堀は「当局や国側は、どうダメージコントロールをしていくか、パニックを起こさないようにするかを情報発信するリスクコミュニケーション。メディア側の役割は、そういうダメージコントロールに対して、『いや、違う。ここに犠牲になっている人がいるじゃないか』と発信し合う。目的は少し違うけど、両方を補完するような形で提示していきたい」と話していました。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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