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発足から一夜明け、17日から菅内閣が本格敵に始動し、各省庁では新旧大臣の引き継ぎが行われました。菅内閣が最優先で取り組むと強調している『新型コロナウイルスへの対応策』について、今回、石破派から唯一入閣した田村憲久厚生労働大臣に話を聞きました。 田村大臣は、1996年に初当選し、菅総理とは同期当選にあたります。2012年には、第2次安倍内閣で厚労大臣、直近では自民党内の新型コロナ対策本部長を務めました。 ◇新型コロナウイルス対策
(Q.菅総理からはどのような言葉で入閣を打診されましたか?)
今、国民の皆様の一番深刻な問題は新型コロナ感染症です。この不安にしっかり対応してもらいたいというような指示を頂きました。(新型コロナ対策本部長として)政府の中ではなく、党の立場から政府の政策を見てきて、色々と気付くこともありました。そういうところに関しても、しっかり対応してほしいということだと思います。 (Q.17日の新型コロナウイルス新規感染者は171人で、3日連続で100人を超えました。1週間平均で見ると、9月9日時点の148.6人だったのが、16日は181.3人に増加しています。この数字について、どう感じますか?)
下げ止まりをしているというのが本当のところだと思います。(一日に)472人というところから下がってきていますが、緊急事態宣言の時のような非常に厳しい行動規制はかけていません。東京は午後10時以降は店を閉めて頂きたいというお願いをしていましたが、依然と比べるとそれも緩やかでした。それで減ってきているということをどう理解するか。そのうえで、ここで下げ止まっているということを分析する必要があると思います。(1週間平均が増えてきていることについては)もちろん気になりますし、次の1週間に向かってどういう状況が生まれるか注視をしながら対応を打っていかなくてはならないと思います。コロナは長い闘いになると言われていますが、日常生活の中でどのようなことをすればリスクが低減できるのかということを、エビデンスベースで国民の皆様に示していくことが大切だと思います。 (Q.就任会見で、新型コロナ対策について「しっかり対策できなかった部分もある」と話していましたが、具体的にどういった対策についてですか?)
お叱りをたくさん頂いたのは、PCR検査の検査能力がなかなか増えなかったことです。半年以上経って、当初に比べれば、かなり増えてきてはいますが、海外ではもっと急速に増やしている国もあります。なぜ増えなかったということについては、検査器機がちゃんと整備できなかったこともありますが、感染者や検体の搬送にも人手がかかることや、保健所などのキャパシティーの問題もありました。一方で、国から地方に出した通知の意図を十分に伝えることができませんでした。もっと国と地方の連携が必要だったと思います。さらに言えば、国が色んなお願いをするなかで、感染者の情報もFAXでやり取りをしていました。今は新しいシステムのもとで感染者情報などを集約していますが、医療機関の情報収集もすべての医療機関に入って頂いていません。こういうシステムももっと精度が高いものにしていかなくてはなりません。 (Q.ワクチンの供給をめぐり、アメリカCDC(疾病対策センター)のトップ、レッドフィールド所長は「生活が正常化するレベルまで広く一般国民に行きわたるのは来年夏ごろだ」と発言しています。供給の見通しは、いつぐらいになると想定していますか?)
現在、製薬メーカーと政府で話し合いをしています。アストラゼネカのワクチンについては、来年3月ごろに3000万人分、来年6月にはファイザーのワクチンを1億2000万人分、さらにモデルナのワクチンなどをして頂けるよう約束事をしています。問題なのは安全性です。大人数の健康な人にうつため、例えパーセンテージが少なくとも、そこに副反応があれば症状が出てきます。重篤なものもあるかもわかりません。国が作っているものではないので、製薬メーカーに安全なものを作って頂かなくてはいけないという前提のもと、約束をさせて頂いています。 (Q.特措法の改正をめぐり、石破茂元幹事長は「必要があれば改正すべき」と主張し、菅総理は「コロナ収束後に必要であれば検討する」というスタンスです。田村大臣はどう考えていますか?)
自民党の新型コロナ対策本部長をやっている時に、石破元幹事長だけではなく、党として、特措法を強化して、色んな店に対して営業の制限をかけ、支援すべきではないかという意見がありました。国民の代表である国会で法律が改正されるのであれば、国民の皆様の理解を一定程度得られたということがあるのかもしれません。しかし、政府が出すとなると、国民の権利を制限するというのは非常に重たいことです。本来ならば、国民的議論をしっかりやったうえで、ご理解を頂いたうえで、どう改正するのかということをやらなくてはなりません。感染症法には「ハンセン病やエイズの反省というものを前提に進める」ということが書いてあります。時の流れ、世論はそうであっても、後から検証すると大変な権利侵害だったということが過去にもありますので、政府としては国民の皆様の議論をしっかりと頂いていく必要がある法改正だと思います。 ◇少子高齢化問題
(Q.菅総理は対策の一つとして『不妊治療の保険適用化』を訴えています。日本では現在、『検査』『薬・手術による治療』『排卵誘発法』は保険適用となっていますが、『人工授精』『体外受精』は適用外となっています。保険適用をどこまで広げるのか、最短でいつごろ保険適用が可能になるのかについて、どう考えていますか?)
菅総理からも強く、保険適用に向かって速度を速めてもらいたいという指示を頂きました。適用外なものの負担感をどう軽減するか。これは大綱のなかにも書き込まれています。保険適用も含め、負担軽減のために検討を行う調査・研究を始めています。『人工授精』『体外受精』といっても色んなやり方があります。効果・安全性もあります。そういうものを含めて、どこまでを保険適用にするのかを専門家の方々に検討して頂く必要があります。一定の時間はかかりますが、なるべく早くということで努力していきます。保険適用されるまでの間に、今よりも負担軽減をして頂きたいと総理から指示を受けました。今ある助成制度にさらに大幅に上澄みをしてもらいたいという話でしたので、私の方からも担当に指示を出しました。額の上澄みを含めて、全体的にどういうものが負担軽減なるのかを検討するという話だと思います。 (Q.少子化に加え、高齢化もものすごい勢いで進んでいます。5年後には国民の4人に1人が75歳以上の後期高齢者の年齢になり、社会保障費は間違いなく膨らんでいきます。菅総理は「10年は消費税を上げない」としていますが、社会保障費その財源の確保はどのように考えていますか?)
しっかりと検証しなければならない話だとは思いますが、消費税を上げた結果、経済に対して影響があったと話す方々もいます。そういう意味で消費税も一つの選択だと思います。一方で、効率化を進めて一定程度、
社会保障費の伸びを抑えることもやっていかなくてはなりません。あまりやり過ぎると、社会保障制度自体が崩壊するので、我々はどこかに負担を求めなくてはなりません。それが消費税なのか、他にあるのかということを含めて、国民の皆様と幅広く議論をして、色んな声を聞かなくてはなりません。ただ、言えることは、何らかの形で負担はお願いをしていかなくてはならないことは事実ですから、しっかりと国民の皆様に説明をしていく必要があると思います。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース