新型コロナウイルスの感染拡大に備える改正新型インフルエンザ等対策特別措置法の整備は、安倍晋三首相が野党に協力を求める異例の形でスタートし、野党は法案の閣議決定より先に参院での採決日程まで受け入れる「あべこべ」の経過をたどった。異例ずくめの審議を通じて改めて浮き彫りになったのは、野党のバラバラ感だった。
主要野党は次期衆院選をにらみ共闘を進めるが、13日の参院本会議の採決では立憲民主、国民民主両党が賛成し、共産党は反対に回った。社民党は福島瑞穂党首が欠席し、吉田忠智幹事長は賛成した。
ちぐはぐな対応となった大きな要因は、元となった特措法が旧民主党政権で成立したことや、規定された私権制限への懸念がある。各党は「共闘に影響はない」(共産の志位和夫委員長)と強調するが、足並みの乱れは政党の「間」だけにとどまらなかった。
国民は法案対応を議論した11日の総務会で、「現行法のまま適用できる」と主張する足立信也参院議員が原口一博国対委員長と言い争いになり、慣例の全会一致ではなく、初めて多数決で賛成を決めた。足立氏は13日の採決を欠席した。
立民はさらに深刻だ。衆院では山尾志桜里氏が造反し、参院でも石垣のり子氏が採決直前に退席した。長浜博行参院議員会長は石垣氏を厳重注意したが、福山哲郎幹事長は記者団に「一定、気持ちを理解する」と歯切れ悪く語った。有田芳生、川田龍平、野田国義各参院議員も欠席した。
とりわけ山尾氏の造反は、立民執行部への強烈なパンチとなった。
「今回の議論のやり方は民主的だと思わない。国対に始まり国対に終わった。オープンな議論の場が本当に少なかった」。山尾氏は採決に先立つ12日の代議士会で挙手して発言を求め、枝野幸男代表らの前で造反を宣言。「成立ありき」の運びや、党の風通しの悪さを真正面から批判した。
参院での立民と国民の確執も相変わらずだった。
自民と立民の参院国対委員長が「13日採決」で合意した9日、国民の榛葉賀津也参院幹事長は「閣議決定もされてないのに出口に合意した。これでは(与党が法案の)修正協議に応じるわけがない」と記者会見で批判した。舟山康江国対委員長も11日の記者会見で、立民の蓮舫参院幹事長について「報告・連絡・相談」の「ホウレンソウ」が足りないと苦言を呈するなど、根強い相互不信があらわになった。(千葉倫之)
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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