横浜港に停泊中のクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗船者10人の新型コロナウイルス感染が5日、新たに確認された。乗客乗員約3700人は2週間、船内に足止めされることになり、乗客からは「帰れないのか」「薬がなくなる」と戸惑いや落胆の声が漏れた。乗客は客室にとどまるよう指示され、缶詰め状態に。海上で孤立した状態の船内では、朝食の提供が昼過ぎにずれ込むなど、乗客に我慢を強いる事態も出始めている。
夫とともにツアーに参加した乗客の50代の女性によると、5日午前8時10分すぎの船内放送で、乗船者10人から陽性反応が出たことを告げられ、自室での待機を要請された。
その後、朝食をルームサービスで配るとの船内放送があった。しかし、なかなか届かないため、女性が客室のドアを開けて廊下を見渡すと、少し離れた場所に“見張り役”の乗員とみられる男性が1人いて、身ぶり手ぶりで「顔を出さずに室内に戻ってほしい」と指示された。
ドアを閉めてしばらくすると廊下から声が聞こえ、間もなく英語と日本語だった船内放送に中国語が加わり、客室で待機するように求めた。一部の中国系の乗客が客室の外に出たとみられる。
結局、ペットボトルの水が正午前に、トーストのサンドイッチ、果物が午後1時前に、ようやく届いたという。約1時間後にはハンバーガー用のパンにハムとチーズ、サラダがはさまれたサンドイッチなどが昼食として客室に届けられた。
個室の客室内はベッドやシャワー、電気も使え、プライバシーも守られているが、女性は「旅行の日程分しか身の回り品を持っていないのが心配」。食事の配膳が遅く、空腹を我慢するのがつらいとも訴えた。
妻とともに乗船した札幌市の男性(70)は、熱などの症状はなく、船内電話で他の乗客らと「いつ下船できるのだろうか」と話し合ったという。
乗客には、さまざまな持病がある人も。毎朝3種類の高血圧の薬を服用しているという高齢男性は「あと2日で薬がなくなる」と不安を募らせる。船内では5日夕、薬が必要な乗客は「各部屋に配る依頼書に記入してください。無料で調整する」とのアナウンスが流れた。政府高官は取材に「薬は政府がちゃんと船に届ける」と語った。
妻と乗船した群馬県の男性(63)も同日は客室から出ず、外の様子は分からないまま。「船を下りられるのは10日とか2週間後になるだろう。当分、家には帰れない」と覚悟しているという。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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