学校は臨時休校準備
穏やかなはずの週末の光景が一変した-。新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けた政府の要請が発表され、初の週末となった29日、九州でも警戒ムードが強まった。ペイペイドーム(福岡市中央区)のプロ野球オープン戦はスタンドを埋めるファンの姿がないまま静かに行われ、33年の歴史を華やかなセレモニーで終える予定だった熊本パルコ(熊本市)は閉店イベントを中止。週明けからの臨時休校を控えた学校は、急きょ修了式や臨時授業を実施し、対応に追われた。
この日、新名称となった福岡ソフトバンクの本拠地ペイペイドーム。“初試合”となるオープン戦は異例の無観客で行われ、大型ビジョンの演出も中止された。がらんとした場内にアナウンスや打球音がむなしく響いた。ソフトバンクのドラフト1位入団の新人で、三塁打を放った佐藤直樹選手(21)は「大勢のお客さんの中でやってみたかった」と残念がった。
商業施設「熊本パルコ」の閉店イベントは中止されたが、開店前からマスク姿の人ら約250人が行列を作った。スタッフもマスクと手袋を着け、記念品の手拭いを配布。営業終了の午後8時すぎ、スタッフが「33年間、ありがとうございました」とあいさつすると拍手が起こった。女性会社員(32)は「あっさりしていたが、イベントの中止が相次いでおり仕方ないかな」。
福岡空港では「緊急事態宣言」の出た北海道に向かう便の予約キャンセルが相次いだ。日本航空によると、同社の札幌行き2便は定員計330人に対し乗客は計120人にとどまり、搭乗率は4割弱。団体客を中心にキャンセルが続いたといい、担当者は「冬の観光シーズンとしては異例の少なさ」と話した。
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各地の学校は週末を返上し、臨時休校の準備に当たった。福岡県柳川市では小中学校25校が修了式を実施。城内小は、教室で校内放送を聞く形で式を進め、幸田琢哉校長が「手洗いやうがい、規則正しい生活を」と呼び掛けた。6年生に向けて下級生が一斉に教室の窓やドアを開け、「卒業おめでとう」と声を合わせた。
全小中学校が臨時出校日となった同県飯塚市。片島小では児童が宿題や休校中の過ごし方を記したプリントを持ち帰り、教師はテストの採点や通知表の準備に追われた。6年生担任の女性教師は「縮小される卒業式の計画などやることが多い。児童の卒業制作も完成していない」。同県豊前市でも、小中学校計9校が未習分を補う授業を実施。3月1日の日曜日も13の小中学校が授業を行う。
西日本新聞社
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