令和の時代の天皇陛下は、一体どんな「新しい天皇像」を描かれるのか。国民がその「変化」を注視する中、皇后さまと共に2019年9月に見せた「新たな行動」がある。「国と天皇との関係性」を変えるかもしれないこの「重大な変化」は、4カ月近くたった今でも、なぜかあまり知られていない。(共同通信=大木賢一)
▽振り仰ぐ
9月8日、秋田市の県立武道館で催された「全国豊かな海づくり大会」の式典。例年同様、舞台上に両陛下が正面を向いて座り、その背後の高い位置に、日の丸、県旗、大会旗が掲げられるレイアウトだった。
「国歌斉唱。ご起立願います」とのアナウンスが流れ、会場の参加者が一斉に立ち上がった。異変はこの時起きた。立ち上がった両陛下が示し合わせたように2人でくるりと後ろを向いて背中を見せたのだ。陛下が皇后さまに目配せをしたようにも見えた。
「あれ? 去年までと違う」。その場の記者たちはすぐに気付いた。「上皇さまは正面向いてましたよね」「こうやって少しずつ令和流が出てくるんですかね」。宮内庁職員も巻き込んで、そんな雑談が交わされた。
後日宮内庁幹部に取材すると「陛下の行動のご真意は分からない。国民を大切に思い、共に歩むという点では、上皇ご夫妻と変わらないだろう」との立場。四大行幸啓とされる新陛下の地方訪問のうち、残る「全国植樹祭」「国民体育大会」「国民文化祭」は全て終了したが、いずれも日の丸が両陛下の前方にあったため、振り返るという動作はなかった。次にこの現象が起きるのは来年の「海づくり大会」まで待たなくてはならないのかもしれない。
▽受け止める
両陛下らの訪問先の都道府県が作成する「行幸啓誌」という写真集のようなものが宮内庁図書室に並んでいる。片っ端から開いて調べたところ、やはり上皇ご夫妻はこの式典ではいつも正面を向いていた。その姿は「日の丸を背負って君が代を受け止めている」ように見える。
国歌である君が代の「君」とは、大日本帝国憲法下では天皇そのものを指し、歌詞は全体として天皇の御代をたたえるものとされた。戦後は国民主権の立場から、君が代に反対する声も強まったが、歌詞は古今和歌集に由来し、「君」は恋人などの大切な人を指すとの解釈もある。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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