東京電力福島第一原発事故後の除染で出た除染土の再利用で、環境省が実証事業の候補地の一つとする新宿御苑(東京都新宿区)の周辺住民の一部らが24日、事業中止を同省に申し入れた。同省は「多くの人に安全性を知ってもらいたい。事業に住民同意が必要とは想定していない」との立場で、両者の溝は埋まっていない。
住民らでつくる市民団体は参議院議員会館(東京都千代田区)で同省職員に書面を手渡し、事業の中止や、事業の詳細説明、公開説明会の開催などを求めた。申し入れには約50人が参加した。
同省によると、新宿御苑の来訪者は2021年度は約120万人で、コロナ禍前は約200万人で推移してきた。
申し入れ後、同省環境再生事業担当参事官室の藤井進太郎・参事官補佐は取材に「質問や意見には丁寧に答え、追加の説明会なども新宿区と相談しながら検討していきたい」と話した。
市民団体の世話人の1人、平井邦一さん(70)=新宿区新宿一丁目=は取材に、「自分たちが住むそばに、放射能を含んだ土がくることの危険性に憤っている」と話した。申し入れには、事業の別の候補地である埼玉県所沢市で反対活動をする団体も同席した。
同省は昨年12月、新宿、所沢のほか茨城県つくば市を含めた、同省管理下の3施設で事業の開始を検討中だと表明した。新宿御苑では、一般の入場が規制されたエリアで、1キログラムあたり8千ベクレル以下の放射能濃度の除染土を再利用し、花壇を整備する計画だ。開始時期は未定としている。
■花壇の雨水 放射能確認のう…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル