新幹線延伸で税収増を期待 札幌政財界が五輪招致で描く青写真とは

 札幌市は2014年11月、冬季五輪パラリンピック招致に名乗りを上げた。当時の目標は26年大会の招致だった。

 しかし18年9月に胆振東部地震が発生。道内ほぼ全域が停電(ブラックアウト)に見舞われた。緊急時の電力網整備の必要性などが課題となり、市は30年大会の招致に切り替えた。五輪の開催地が18年冬の韓国・平昌、20年夏の東京、22年冬の北京と続き、同じアジアの札幌が26年を目指すのは不利だとの観測もあった。

2030年札幌五輪の行方(全3回)

  2030年冬季五輪・パラリンピック招致を目指す札幌市。しかし市民の招致機運は盛り上がらず、東京五輪をめぐる汚職事件の逆風も吹いています。約8年に及ぶ招致活動の内実に迫ります。

 ただ、招致先送りは必ずしも札幌にとってマイナスだったわけではない。招致を表明した当時の市長、上田文雄氏は「30年への延期は当初から想定していた。1回目の立候補で決まるとは思っていなかった」と明かす。

 「延期」を想定した背景にあるのが北海道新幹線の札幌延伸だ。延伸は当初35年度とされ、15年1月には5年前倒しの30年度になった。

 札幌駅周辺など中心部では延伸を見据えた大規模開発が続き、将来は市の固定資産税の増収も期待された。「税収が増えれば、五輪にかかる経費も負担できる」(上田氏)。当初見込まれた市の負担額は約630億円。招致が26年から30年になれば、延伸が財政を後押しする効果がより強まると見込んでいた。

 上田氏は市長時代、財政面か…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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