安倍晋三元首相が銃撃された事件について、日本総合研究所会長の寺島実郎さん(74)は、「この事件の本質は、世界で民主主義が直面する新しい次元の問題と深く関わっている」と指摘。日本人に改めて民主主義を根付かせる意思と努力が求められるという。
「新しい時代のこれまでとは違う次元のテロ事件」に「民主主義が共通して直面する課題が背景に横たわっている」と分析。「デジタルデモクラシーの落とし穴」に警鐘を鳴らす。
――この事件について。
てらしま・じつろう 1947年生まれ。現在、日本総合研究所会長、多摩大学学長。三井物産常務執行役員などを歴任。著書に「人間と宗教」「日本再生の基軸」など。
「衝撃を受けました。ただ、報道を含めた日本社会の反応には、違和感を感じ、ある種のズレがあるように思えてなりません。『民主主義への挑戦』だとか『戦前に戻してはならない』といった反応が目立ちますが、それでは問題の本質を見失ってしまいます」
――具体的にはどういうことでしょうか。
「事件の解明は今後も続きますが、『血盟団事件』のような昭和初期の政治的なテロとは性格が異なります。むしろ政治から距離を置いていた人が、ゆがんだ個人的思い入れを高じさせ犯行に及んだことが怖いのです。政治よりも、社会心理学のテーマです」
「犯行を生んだ社会的背景や、時代が抱える問題が重要です。新しい時代のこれまでとは違う次元のテロ事件なのかもしれません」
――新しい次元での民主主義に対する挑戦ですか。
SNSが招いた「思考の外部化」
「そもそも民主主義とは何で…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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