東京都心の住宅地に、ワイン醸造所がある。都内で初めて開業し、まもなく10年。常勤はオーナー1人だけだが、年間1万本を出荷する。生産が盛んな地とは言えない場所でのワインづくりを支えているのは、ボランティアたちだ。
11月下旬、「東京ワイナリー」(東京都練馬区)。ワインを発酵させているタンクの横で、6人が摘み取ったばかりのブドウ200キロを房から外す作業をしていた。
オーナーの越後屋美和さん(47)と5人のボランティアだ。「ブドウのつぶし具合も人によって違う。いろいろな人がかかわることで、ワインにも多様性が生まれる」と越後屋さんは話す。
1人から広がった輪
大学の農学部を卒業後、都内の青果市場で仲卸業をしていたとき、練馬区産の野菜やブドウのおいしさに感動した。果実酒の醸造免許を取得して、新聞販売所だった建物を改装し、14年にワイナリーを開業した。都内初だった。
開業資金を抑えるために、設備投資は最小限にした。ブドウを房から外すのも、つぶして果汁を搾り出すのも手作業。手頃な値段でワインを楽しんでもらいたいと、当初は1人で切り盛りしていた。
すると「地域のみんなで楽し…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル